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草月流師範 惣元久恵さん

草月流師範 惣元久恵さん

 

1941年6月生まれ、79歳。
福岡県北九州市門司港出身、京都市在住。

 

華道歴は60年以上。
福岡県北九州市で生まれ育ち、高校生の頃にいけばなをはじめる。
結婚後、京都市内に移住。23歳のときに草月流に出会う。

 

草月流のいけばなと出会ったきっかけを教えてください

はじめていけばなを習ったのは高校生の頃です。

そのときは池坊(華道家元池坊)でした。

夫と結婚して京都市内で暮らすようになり、元々いけばなをやっていた母(お姑さん)の下で草月流を習い始めたのが2324歳のとき。そのあと10年くらいしてから自宅でお教室をはじめました。

 

母とわたし、それぞれが教室をやっていましたので、ときには合同で発表会をしたこともあります。

また母は茶道の師匠でもありましたので、わたしも長く茶道を親しむ中で、母が主催するお茶会の準備を手伝ったりもしていました。

 

いけばなの魅力を教えていただけますか。

いけばなのはじまりは、仏壇やお墓にお供えする仏花であると言われています。

それが時代とともに暮らしの中で楽しむものへと変わり、今日では家の中だけでなく大型施設やステージといった空間にも飾って楽しむものへと変化しています。

 

わたしの場合、毎日の暮らしの中で自宅の玄関、客間、リビングなどに花をいけるほか、二年に一回程度、展示会に出展しています。

また、今も自宅でお教室をしています。

 

いけばなには基本的な決まりごとやルールはありますが、その上で、思うままその場のイメージで生けていいんです。絶対的なものはありませんので、人がどう見るかよりも、自分らしく自分が好きなように生けることが大切です。

 

おもしろいもので、お弟子さんのいけばなを見ていると、不思議と20代の人が生けると元気がいいエネルギッシュなものになるし、40代の人が生けると色気のある、艶っぽいものになります。

お花にはその人の年齢だけでなく、個性、生き方や人となりのすべてがあらわれます。そこがおもしろく、興味が尽きないところです。

 

 

 

今の時代、若い人は仕事がいそがしく、なかなか花を愛でる時間がとれないかもしれませんが、少しだけでも花にふれてほしいと願っています。

その思いもあり、花を買うたび、家族に分けています。

先日のお正月のときには、孫が「自分でいけた花だよ」とケイタイで写真を送ってくれました。とても嬉しくて、このときは思いっきり褒めました。

 

花を触っているとホッとします。また、花を通して、まわりの人たちとつながることができます。

わたしはいけばなやお茶を通して、お姑さんと深い関係が築けました。

子どもや孫から「花を生けたよ」と写真が届くと、離れて暮らしていても受け継がれていくものがあるようで、幸せな気持ちになります。

花を通して大切な人の存在や、その人と交わした会話の内容を思い出せたり、楽しい記憶がたくさん思い浮かんだり、花と向き合うことで自分と向き合っているかのように感じることもあります。

 

 

 

展示会の会場で惣元さんの作品を拝見したことがあります。凛とした中に強さが感じられ、素敵でした。展示会に作品を出展する上で難しい点はどんなところですか。

展示会に出展する作品をつくるのは、それはもう毎回、大変です。

まず、どんな作品をつくるか、花はどうするか、花器はどんなものを使うか、デザイン画を描きながら考えます。

季節や飾る場所によっても作り上げる作品のイメージが変わりますから、考えるのは毎回とても大変ですが、お花屋さんと相談し、お花屋さんから「こういうのはいかがですか?」「おもしろい花が入りましたよ」とアドバイスをもらいながら考えています。お花屋さんとはもう60年来の付き合いになります。

 

 

花を生けるときは一発勝負。大きなもので2時間くらいかかります。

うまくいくかどうかは偶然の産物のようなところもありますが、できあがったときは「わぁ! やったぁ!」と我ながら達成感で一杯になります。

悩んでいるときは「誰にも見せたくないし、知らせたくない」と思う一方で、できあがったときには「一人でも多くの人に見てもらいたい」と思い、お友だちに何人も電話します。

その延長で何十年も続けてきました。

他の先生方やお弟子さんたちが生けた作品から刺激をもらえるのも、展示会のいいところですね。

 

好きなお花を一つあげるとしたら何ですか。その理由も教えてください。

お花はぜんぶ好きです! 一つだけあげることはできませんし、嫌いなお花も一つもありません。

その上で、花を生けるときはいつも「花と語り合う」ことを心がけています。

たとえば、「この花はどっちを向きたいかな?」「少し縮こまっているようだから、上を向かせてあげよう」「あっちを向いているけれど、こっちに向けてあげたら花が喜ぶのではないかしら?」そんなことを考えながら生けています。

 

 

また、季節感も大切にしたいですね。

日本には四季がありますから、いつどんなときも、その時季ならではの花が咲いています。

季節を少し先取りして、冬の終わりにチューリップを使ってみるのもいいですね。すると春をもっと春の訪れが楽しみになりますし、気分が明るくなります。

昨年のコロナ禍には庭に咲いたヤマボウシの花から英気をもらいました。わざわざ生けなくても、そこにある花を愛でるだけでも、いいものですね。

 

 

ほかにも書道、お茶を長くやっていらっしゃいます。続ける秘訣はありますか?

続ける秘訣は…、なんでしょう。やめる勇気がなかったからでしょうか(笑)

わたしの場合、夫がずっと商売をやっていたため、若い頃はそれこそ毎晩、夫の帰宅が午前様だったんです。夜中の1時、2時に帰ってくるのがあたりまえだった頃もあります。

そのぶん好きなことをやらせてもらえましたから感謝している一方で、やっぱりその時間まで起きて待っているのも大変なのです。

イライラしながら待っているより、好きなことに没頭しながら待っているほうがいいじゃないですか。

それで、夜の時間をつかって、花を生けたり書を書いたりしていました。

家族の理解があったことと、喜んで子どもの面倒を見てくれた隣人や、楽しく刺激し合えるお友だちに恵まれたことも、続けられた理由だと思います。

 

今も玄関やリビングにお花を飾っています。

夫は玄関やリビングにいけている花を見て、「今日は何の花?」と楽しみにしているようです。若い頃はぜんぜん興味を持ってくれなかったのに(笑)、年齢的なものもあるのでしょうか。

また50年以上、京都で暮らしていますので、京都で生活する中で花屋さんや漆器屋さん、和紙のお店などとのお付き合いも増えました。

 

好奇心が旺盛だからでしょうか、話していると、「あれもこれも全部楽しかった!」と楽しいことばかりが思い出されます。家族に感謝しています。

 

 

 

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かわいらしい! 小さなところがいいですね。

娘の家族は仕事の関係で、長く中国で暮らしていました。孫は英語も中国語も話せますから、このページも孫に翻訳してもらうのを楽しみにしています。