50ドル以上のご注文で、国内送料無料!

インクのにじみが味わいに

 以前にもこの連載の中でお話ししましたが、手書きすることをためらう理由として「字が汚い」「自分の書く文字に自信がない」という人が多いようです。

 

 でも、そもそも自分の書く字に自信がある人などほんの一握りでは? また、受け取る側の目線で見れば、ペン習字のテキストにあるような美しく整った文字に感動するわけではありません。わたしは、なんとなく見ていて飽きない文字、味があってその人らしいと感じる文字を見たときに、「いい字だなあ」と感じます。

 

 上手に書こうとする必要はありません。相手のことを想像しながら、丁寧に綴ればいいのです。相手の顔を思い浮かべながら書けば、不快な印象を与える文字にはなるはずがないのですから。

 

 そして、それでもなお自信が持てないようなら、万年筆をおすすめします。万年筆は不思議な道具です。いつものボールペンを万年筆に持ち換えるだけで、なんとなく背筋が伸びて自分に自信が持てる、そんな特別な気分に浸れるのです。

 

 万年筆はインクを充填して使いますから、インクのにじみがクセのある文字に、独特の風合いや味わいを与えてくれます。価格は上を見ればきりがありませんが、ここ数年は千円程度で買える手軽な万年筆がたくさん発売されています。

 

気に入ったペンが1本手元にあると、書きたい気持ちがうんと高まります。実際のところ、そのペンを使いたいがために手紙を書くこともよくあるでしょう。さらに、外出先や人前では、気に入った1本を持っているだけで、なんとなく誇らしくて鼻が高いでしょう。

 

新しいペンを購入するときには、どんなときにどんな目的で使うのかを考えてみてください。例えるなら、女性が持つバッグと同じです。普段使い用と特別なときのため用など、何本かを使い分けると、さらに楽しみが広がります。